インナーチャイルドとの対話。幼稚園児の僕。

インナーチャイルドとの対話。幼稚園児の僕。

 幼稚園児の僕。

 当時の僕は自分のことを歳の割には賢い人間と思っていた。

 ポケモンが好きで、よく絵を描いている大人しい子供だった。

 おばあちゃんに「将来はレオナルド・ダ・ヴィンチみたいな画家になるかもねぇ」とかよく褒められていたことを覚えている。

 幼稚園内では友達はいたけど、人見知りだったので、自分の話をすることがあまりできなかった。

 僕はただ「すごいね!」って、褒めてほしかったんだ。

 話したいことはいっぱいあって、

 でも話すのが恥ずかしかったりして、いつも心の内へ蓄積させてきてしまった。

 だから今の僕は心にモヤモヤを抱えていて、過去のことばかりが必要以上に思い出されて、現在を侵食していて……。

 君に会いに行くよ。遅くなってごめんね。。。

 *

「何してるの? お友達とは遊ばないの?」

「コクリ」

「そっか、じゃあ僕と遊ぼっか笑。お兄さんポケモン好きだよ」

「ポケモン……」

「そう。何のポケモンが1番好き?」

「ラティオス」

「ラティオスかっこいいよね! 古いポケモンなのに知ってるんだね! すごいね!」

「うん」

「映画とか見たの?」

「見た」

「そっかぁ。ラティオスがみんなを守るのかっこよかったよね。せつなくんもそういうふうになれるかな?」

「なれる」

「すごいね! せつなくん優しいからきっとなれるよ」

「分かんないけど……」

「よしよし」

「あとね、僕ポケモンの名前全部言えるよ。1から」

「ほんと? まだ小さいのにすごいね!」

「うん。今ポケモン図鑑作ってる」

「え、ポケモン全種類の?」

「うん」

「えー、完成したらすごいことになりそうだねー! 完成したら見せてくれる?」

「うん」

「ありがとう!」

「でもね、最近何が描いてないポケモンか分かんなくなっちゃった」

「まじで? ピンチじゃん!」

「ピンチ」

「じゃあ今度一緒に見てあげる」

「あの、ありがとう」

「どういたしまて。でもやっぱりすごいよ。みんなそんなにポケモン知らないと思う」

「うん。だってね、みんな好きなポケモンアルセウスって言ってるよ」

「そっか。せつなくんは自分の好きなものがしっかりあってすごいね」

「ラティオスはね、僕が生まれた年の映画でね、だから、すごい好き」

「そうなんだ! すごいね、運命だね!」

「うん!」

「せつなくんは賢いから、幼稚園では人気者かな?」

「うーん、でもあんまり話せない時もあるかも」

「うん。緊張しちゃうよね。話そうと思ってもさ、話せないことあるよね」

「うーん……」

「大丈夫。せつなくんはだめなんかじゃないから。男の子でも恥ずかしがっていいんだよ。泣いても恥ずかしいことじゃないよ。分かった?」

「うん」

「そっか。えらいね」

「でも、泣いてるところ見られるのちょっと恥ずかしい」

「あはは、そうだね。お兄さんも高校生だけど、泣いちゃった時あってちょっと恥ずかしかったよ」

「高校生って、中学生の上?」

「そう! よく知ってるね!」

「大学生がその上」

「そうそう! 小中高大ね」

「お兄さんでも泣くの?」

「うん! うぇーんうぇーん!って泣き止めないぐらい泣くよ?」

「そうなの?」

「そうそう。男の子なんだからちゃんとしなさいって言われてもね、うっせばーかって言っとけばいいの笑」

「えー、ばかって言ったら可哀想かも笑」

「えー、可哀想?」

「うん。でもね、お父さんがそうやってたまに言うことある笑笑」

「はは、そうなんだ笑笑。面白いね! お父さん好き?」

「うん! お父さんね、本に落書きした時があって、それがすごい面白かった笑笑」

「えー、どんなかんじ??」

「えっとね、うんちとかね、なんか、ひげとか描いてて変なかんじだった笑笑」

「えーー笑笑。面白いへへへ」

「写真撮る時とかお父さんが変な顔とかしたりしてね、僕あんまり笑うの得意じゃないけどね、笑わせてくれるの」

「そっかぁ、いい人だね」

「うん!」

「せつなくんは幸せいっぱいだね! その分、せつなくんは色々な人に優しくしてあげようね。ラティオスみたいにね」

「うん、そうする」

「よし、今日は話せてよかったなぁ! お兄さんも頑張らないと」

「行っちゃうの?」

「うん。すごく楽しかったよ。せつなくんはお話上手なんだから、僕以外の人にもたくさん話かけてごらん? 大丈夫、怖くないよ。何か言われてもうっせばーかって言っておけばいいのさ。ね、お兄さんとの約束ゆびきりげんまん」

「嘘ついたら針千本のーます指切ったっ!」

「おっけ! じゃっ、またね!」

「ばいばい」

「うん。あ、そうだポケモン図鑑作るの頑張って! ふぁいと!」

「うん、お兄さんに見せるよ」

「おう! 楽しみにしとくから! じゃあ、またね! ばいばい!!」

 インナーチャイルドとの対話は時に大事なことを教えてくれる。

 なんというか、解き放てたような気がした。

 君に恥じないような素敵な人間になってみせるから。

 僕は走る。

 走り出せた。君のおかげだよ。

 だから君も頑張って生きてね。

 僕は、自分は出来損ないで、生きる価値がないんだと責め続けていた。

 だけど、僕は人に優しくできる。親から貰った愛情を思い出した。

 お父さんお母さん、ほんとうに、ありがとう。常に感謝の気持ちを大切にして歩いていこう。

 僕は、生きてていいんだ。

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